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テーマ|おすすめの「百合小説」紹介

突然ですが、百合っていいですよね

百合とは主に「女性同士の深い関係」を指して使われる言葉です。

女性同士の恋愛関係を描くことが多いですが、親密な友情であったり因縁の関係に使うこともあります。

私が思う百合作品の一番の魅力は同性同士だからこその純粋で重い愛美しい描写です。

また男性目線の意見で恐縮ですが、恋愛を描いた作品では「男性×女性」のペアが一般的なので「ヒロインの女の子かわいい!」とはなっても男性側に萌えることはほぼありません。しかし、百合はどっちにも萌えられる可能性がある。

可愛い×可愛い・・・はっ、百合は可愛いのミルフィーユ!?

これ以上はキモさが全面に出てしまいそうなので本題に入ります。

今回はそんな「百合」を楽しめる作品を4点ピックアップしました。

[彼女。]百合小説アンソロジー

最初に紹介するのは百合小説アンソロジー『彼女。』です。

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』の相沢沙呼さんや『響け!ユーフォニアム』の武田綾乃さんなど、名だたる作家陣の完全新作短編読めるというだけでも買いの一冊です。

この作家陣でさらに「百合縛り」ときたら買わない理由がない!

『彼女。』には以下の作品が収録されています。

  1. 相沢沙呼「微笑の対価」/扉絵 清原紘 →サスペンス
  2. 青崎有吾「恋澤姉妹」/扉絵 伊藤階 →バトル
  3. 乾くるみ「九百十七円は高すぎる」/扉絵 郷本 → 日常の謎
  4. 織守きょうや「椿と悠」/扉絵 原百合子 →青春
  5. 斜線堂有紀「百合である値打ちもない」/扉絵 たいぼく →重めの恋愛
  6. 武田綾乃「馬鹿者の恋」/扉絵 けーしん →青春
  7. 円居挽「上手くなるまで待って」/扉絵 toi8 →日常の謎

ミステリ作家が多い印象ですが、作品のジャンルはバラけていて様々なタイプの百合を摂取することができます。

ただし完全なハッピーエンドを迎える作品が少ないので微笑ましいライトな百合を摂取したい方には向いていません。

やばい女好きとしては、美しく悪く淫らな女性と彼女を助ける友人の関係を描いた『微笑みの対価』がお気に入りです。

リアルではお近づきになりたくないですが、物語の中の「魔性の女」って魅力的ですよね。

また、本書では全ての作品の扉絵を別々のイラストレーターが手がけているため、扉絵にも注目です。

微笑みの対価の扉絵は清原絋さんです。美人なのに近づきたくない魔性の女っぷりがすごい。

マラケシュ心中

2作目は中山可穂さんの『マラケシュ心中』です。

先に言っておきます。覚悟を決めてから読み始めましょう!

歌人・小川絢彦が愛したのは恩師の妻・泉だった。女と女の極限の愛。狂おしいまでの愛の逃避行の行方・・・。

あらすじはこんな感じ。ふわふわした甘い恋愛は一切描かれず、どこまでも生々しく強烈に相手を求める百合小説です。

普段恋愛小説をあまり読まない自分でも、登場キャラクターの熱気に当てられ、のめり込みすぎたせいでやや精神が不安定になりました。

登場キャラクターに感情移入しがちな人はかなり体力と気力持っていかれると思います。しかし、読了後は「すごいものを読んだ・・・」と思わずにはいられない作品なので是非読んでみてください。

アステリズムに花束を

3作目は百合SFアンソロジー『アステリズムに花束を』です。

出版された時「よくやってくれた!!」とハヤカワさんに大感謝しました。前々からSFと恋愛(百合)は相性がいいと思っていたのです。

『アステリズムに花束を』には以下の作品が収録されています。

  1. キミノスケープ 宮澤伊織
  2. 四十九日恋文 森田季節
  3. ピロウトーク 今井哲也
  4. 幽世知能 草野原々
  5. 彼岸花 伴名 練
  6. 月と怪物 南木義隆
  7. 海の双翼 櫻木みわ&麦原遼
  8. 色のない緑 陸秋槎
  9. ツインスター・サイクロン・ランナウェイ 小川一水

どの作品もSFアンソロジーとしての魅力を十分に発揮しています。全体的に好意の表現方法が迂遠でロマンチック! 行間から登場人物の感情を読み取るのが好きな人には刺さる作品が多いと思います。

その反面、SFを読み慣れていない人には内容を理解しにくい作品もいくつかあります。個人的にはSFは理解できなくてもフィーリングで感じるものだと思っているので、あまり神経質にならずに百合の概念を感じるだけでもOKです。

本書で特に好きだった2作を簡単に紹介します。

『四十九日恋文』
死者と49日間メールのやり取りとりができるようになった未来の世界。1日1文字ずつ送れる文字数が減っていく中で紡がれる言葉のやり取り。
短歌を送り合い。喧嘩をして。どうでもいいことを話し。愛を叫ぶ。そんな49日間の最後に彼女たちが送り合った言葉とは──
『彼岸花』
大正時代・女学院・お姉様・吸血鬼・書簡形式。 え、一個ずつでも興奮できるのにこの要素全部入ってるって本当ですか!?と読んでいて鼻息が荒くなった作品。

ちなみにアステリズムを出版している早川書房さんの『SFマガジン』。百合特集をした号の売れ行きがとんでもないことになっていたそうです。いかに世の中が百合を求めているかがわかりますね。

普段マガジンは購読していませんが、この号は私も購入しました。SF×百合が好きなことはもちろん。推しイラストレーターのシライシユウコさんによるハーモニーの二人を描いたイラストがツボすぎました。

ツインスター・サイクロン・ランナウェイ

4作目は小川一水さんの『ツインスター・サイクロン・ランナウェイ』です。先ほど紹介した『アステリズムに花束を』に収録されていた短編を長編に書き下ろしたもので、現在は2巻まで発売されています。

この作品はど直球の百合です。「二人で苦難に立ち向かって想いを深めてイチャイチャする。そういうシンプルな百合が欲しいんだよ!」という人は迷わずこの作品を読んでください。

ガール・ミーツ・ガール万歳! こういう百合が欲しかったんや! 

と、思っていただけることを保証します。

簡単にあらすじを紹介します。

人類が宇宙へ進出してから6000年。都市型宇宙船に住む人々は、宇宙を泳ぐ魚「ベッシュ」を捕えて暮らしていた。ペッシュ漁をする宇宙船の操縦は男女夫婦ペアが決まり。お見合いをするも振られて続けていた漁師のテラは、謎の家出少女ダイオードと出逢い、異例の女性ペアで漁を開始する。凸凹コンビのスペース漁業物語!

主人公であるテラとダイオードが二人とも可愛いのなんのって。テラは体のサイズも大きく人懐っこい「大型犬」のような女の子です。一方のダイオードは小柄でなかなか心を開いてくれない「猫」タイプ。タイプの違う二人が少しずつ距離を縮めながら自分の気持ちに気がつく過程が、まさに、YURI!

また、本作を書いているのは、あの小川一水先生。SF作品としても見どころが満載です。

二人で息を合わせて船を変形させながら漁をしていくシーンはスピーディーかつ迫力満点。アニメ化映えすると思うのでどこかのアニメ制作会社さんいかがでしょうか(チラっ)

ベッシュとはなんなのか、都市型宇宙船の隠された歴史など、世界を構成する謎も見逃せないポイントです。

まとめ

今回はおすすめの百合小説を紹介しました。

今回紹介したのはあくまで氷山の一角、いや花畑の中の一輪。世界にはまだまだたくさんの小説でたくさんの百合が咲いています。

ときめく百合小説に出会ったら随時紹介していければと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

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