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テーマ|まどい『名刺代わりの小説10選』

こんにちはまどいです。不良同士が拳で語り合うように、本好き同士はやはり本で語り合うべきであろう。・・・ということで私という本好きを構成する小説を艱難辛苦の末に10冊選びました! みなさんが好きな本は入っているでしょうか?

『チョコレートコスモス』 恩田陸

一作目は恩田陸さんの『チョコレートコスモス』です。

この作品を一言で言い表すなら天才たちの演劇バトル!

この物語の主人公は二人の役者です。幼少期から演技の世界で生きてきた響子。天性の勘で唯一無二の演技をする飛鳥。この二人が同じ舞台に対峙する最後のシーンは圧巻で何度読んでも鳥肌が止まらない一冊です。

『【映】アムリタ』 野﨑まど

二作目は野﨑まどさんの『[映]アムリタ』です。

この作品を一言で表すなら予想外の遥か斜め上!

内容が何も伝わらないのを承知でこの表現を使わせてもらいます。初見の時には読み終わった後に何が起きたかわからず放心していました。

大学の映画サークルに所属する主人公は天才と噂される新入生・最原 最早(さいはら もはや)が監督を務める自主制作映画に出演し彼女と交流していくが・・・。という話ですがここから先は何も言えません。最原最早という異次元の天才に、そして奇才野﨑まどに邂逅してください。

『満願』 米澤穂信

3作目は米澤穂信さんの『満願』です。この作品を一言で表すなら美しき狂気

米澤穂信作品の強みである「動機作り」が秀逸すぎてもはや芸術の域にまで達している短編集。特に『柘榴』は私の人生No.1短編と言ってもいい作品です。美人姉妹サイコー!!同じく米澤先生の短編集である『儚い羊たちの祝宴』と悩みましたが柘榴が入っている点でこちらを選びました。

『空の境界』 奈須きのこ

4作目は奈須きのこさんの『空の境界(からのきょうかい)』です。

この作品を一言で表すなら圧倒的世界観に酔う伝奇小説!

ビルの上を浮遊する幽霊。捻じ曲げ殺される連続殺人。街の裏側で密かに起きる怪異に「直死の魔眼」を持つ両儀 式(りょうぎ しき)が対峙します。(最近はやや下火になっているような気がしますが伝奇小説っていいですよね!)

Fateという一大コンテンツの生みの親である奈須さん。ゲームだけでは摂取できない、文章や表現の圧倒的センスを浴びることができる一冊です。

あ、DDDの続編もいつまでも待っています。

『銀河英雄伝説』 田中芳樹

5作目は田中芳樹さんの『銀河英雄伝説』です。言わずと知れた日本SFの金字塔です。

個人的には「日本のSFといえば?」と聞かれたら本好きの半数ぐらいは銀英伝の名前を出すんじゃないかと思っています。

数多の魅力的な登場人物が交差する一大スペースオペラ。重厚すぎる世界観の作りこみは現実の歴史かと錯覚しそうになるほどです。こんな広大な世界を作れる田中先生の頭の中を覗いてみたいですね。

『砂漠』 伊坂幸太郎

6作目は伊坂幸太郎さんの『砂漠』です。作品一番のポイントは西嶋というキャラクターの魅力です。

この作品は5人の大学生の日常(とその中で起きる事件)を描いた青春小説です。その中の一人が西嶋(主人公ではない)なのですが、全力でまっすぐな言葉がグサグサと読者に刺さり読了後は爽やかな気持ちで西嶋のセリフの一つ一つを反芻することになります。「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって余裕でできるんですよ」

西嶋以外のキャラクターもクセが強く、この5人の関係が近すぎることなく、しかし確かな絆を感じることができる絶妙な距離感なのがいいのです。

『夜は短し歩けよ乙女』 森見登美彦

7作目は森見登美彦さんの『夜は短し歩けよ乙女』です。

この作品を一言で表すなら阿呆と酒飲みのための青春(ぼうけん)小説!

大学の後輩・黒髪の乙女に一目惚れをした冴えない主人公が四苦八苦七転八倒しながらなんとかお近づきになろうとする青春小説です。思わず笑いそうになる愉快な登場人物と馬鹿げた設定はまさに森見ワールド。読んだら、青春と書いて「ぼうけん」と読みたくなる気持ちが分かってもらえるかと思います。

ちなみにヨーロッパ企画による舞台版「夜は短し歩けよ乙女」は最高の出来でした。三次元に飛び出した乙女がそこにいた!

『medium 霊媒探偵城塚翡翠』 相沢沙呼

8作目は相沢沙呼さんの『medium 霊媒探偵 城塚翡翠』です。

この作品を一言で表すなら翡翠ちゃんかわいい!

いや、ミステリとしての凄さは私が説明するまでもないかと思ってつい・・・。でもそれくらい主人公の翡翠ちゃんが好きなんです。読んでから一週間は翡翠ちゃんが現実にいないことに絶望するぐらいガチ恋勢になっていたのです。読み始めた人は必ず最後まで読んでください。必ずだ!

ちなみに2019年のミステリ賞を総なめの5冠です。

『一刀斎夢録』 浅田次郎

9作目は浅田次郎さんの『一刀斎夢録』です。

この作品の魅力を一言で表すなら最高にカッコいい斎藤一!

実は歴史小説にはやや苦手意識があったのですが、この作品は老齢の斎藤一が過去を回顧する形で物語が進んでいくためキャラクター小説としてとても読みやすかったです。幾多の人間を切り捨ててきた人間の死生観や人斬りの哲学など、倫理や美徳から外れているアウトローさに痺れます。

一歩間違えば自分が死ぬ剣客同士の間の取り合いのシーンは緊張感が凄まじかったです。

『新世界より』 貴志祐介

10作目は貴志祐介さんの『新世界より』です。

この作品のテーマは世界の残酷な真実と向き合うこと

「呪力」という触らずに物を動かす能力を全員が持った世界。一見平和な村で暮らす少年少女は自らを取り巻く世界の不自然さに気づき初めてしまい・・・。ファンタジー、SF、ホラー、サスペンス、様々な要素が入り混じる傑作です。

読み始めたが最後。睡眠時間を削ってでも読んでしまう本を「徹夜本」と言いますが。この作品はガチです。謎と緊張感と絶望の連続で本当に朝方まで読み続けていました(当時大学生でよかった)

10選番外編

バランスを考えて10選に入れられなかったけど、大好きすぎてどうしても紹介したい本を紹介させてください!(今後も増えるかも・・・)

スロウハイツの神様 辻村深月

泣きました。もう完敗よ・・・。だって感情の揺さぶり方と伏線の貼り方がえげつなさすぎる。

この作品は様々なクリエイターが共同生活をする「スロウハイツ」に集う若者たちの群像劇です。

物語のキーマンは売れっ子作家のチヨダ・コーキ。彼はかつて自分の作品のせいで殺人事件が起きたと世間から非難され小説が書けなくなっていました。

そんな彼がいかにして再び歩み出すことができたのか。彼は誰に救われ、そして誰を救っていたのか。

「叫びたくなるほど好きで好きでたまらない」「その作品があったから過去の自分が救われた」そんな作品がある人には絶対読んで欲しい作品です。

またスロウハイツの神様は桂明日香さんによる漫画化もされています。キャラクターデザインやテンポの良い展開など小説が好きだった人は楽しめると思いますのでぜひチェックしてみてください。1巻表紙の「ハイツオブオズ」のケーキの箱で泣ける・・・。

天冥の標

「今まで読んだ中で一番面白いSF小説は?」と聞かれたら先述の銀英伝か天冥の標か頭を抱えて悩むレベルで好きな作品。この作品が凄いのが1巻ごとに世界観も時代もスケールもガラッと変わるのに最後に向けて全てが収束していくところ。この作品を読むだけであらゆるSF要素を濃密に摂取することができます。全17冊と長いですがSF好きにとっては至高の読書体験ができるとお約束します。ルッゾツーウィースタン!

どこかの会社がめちゃくちゃお金かけて映画化してくれないかなぁ。

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