ミステリ

感想|『隻眼の少女』隻眼の美少女探偵が連続殺人に挑む!

今回紹介するのは麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』です。

実は今作が麻耶作品初読みとなるのですが、今まで読まなかったことを後悔するほど面白かったです。

とにかく探偵兼ヒロインが可愛い!巫女服(正しくは水干)で隻眼美少女探偵です(属性の盛り方!)

もちろんミステリーとしても傑作です。王道の舞台設定。魅力的なキャラクター。鋭い推理。衝撃の結末。ミステリの面白さがギュギュッとっと詰まった一冊です!

私としたことが「巫女服隻眼探偵」なんて属性盛りすぎ美少女を見逃していたなんて

あらすじ

“私の左眼は、真実を見抜きます”

竜殺しの伝承が語り継がれる山深き寒村。代々“スガル様"と呼ばれる女性が信奉されている。
ある日スガル様の娘が首を切られて殺害される。
村に滞在していた大学生の種田静馬は犯人と疑われるが、隻眼の少女探偵・御陵みかげの推理によって救われる。
名探偵であった母の名を継ぐみかげと共に静馬は事件の解決に乗り出す。
二転三転する探偵と犯人の攻防を経て、事件は意外な結末で幕を下ろす。
しかし、18年の時を経て事件は再び動き出す──。

『隻眼の少女』のポイント

隻眼の少女のポイントを一言で表すと「ミステリーの面白いとこ贅沢盛り」です。

因習残る山奥の寒村。見立て首切り殺人。水干服の隻眼少女探偵。そしてラストに待ち受ける衝撃の展開。

ミステリー好きならワクワクすること間違いなし。ミステリー初心者なら度肝を抜かれること間違いなしの太鼓判を押します。

その他、こんな要素が好きな人にオススメです。

ポイント

・探偵の苦悩

・ロジカルな謎解き

・気の強い女の子が好きです

探偵・御陵みかげの魅力

本作の探偵・御陵みかげは17歳の女の子です。実は「御陵みかげ」という名は名探偵であった母から受け継いだものです。

“初代”御陵みかげは多くの難事件を解決し警察にも厚く信頼される名探偵でしたが、すでにこの世を去っています。

本作の「琴折家連続殺人事件」が母の名を継いだみかげの探偵デビュー戦となります。

常に余裕のある素振りで謎を看破していくみかげですが、その表情の裏では名探偵たる母の名を継ぐプレッシャーや守れなかった被害者への後悔の念など、探偵の宿命と必死に戦っています。

自身が暴き出した受け入れ難い真実を前に、それでも探偵であろうとする彼女の強さにきっとあなたも魅了されるはずです。

この表紙イラストがめっちゃ好きです。彼女の可愛さと恐ろしさが絶妙なバランスで描かれています

王道ミステリ

隻眼美少女探偵と聞くと「キャラ小説でミステリとしては軽いんじゃないの?」と疑問に思うかもしれません。

安心してください。本作『隻眼の少女』は“お約束”をしっかりと踏襲した王道ミステリとなっています。

舞台

山奥の寒村「栖苅村(すがるむら)」千年以上前に“スガル”という女性が琴の音で竜の首を切り落としたという伝説が残り、その子孫と言われる“琴折家”の女性から代々スガル様が選ばれ神のように奉られています。第一の殺人は村に伝わる伝承の“見立てとして”首を切られたとされます。

登場人物

スガル様を継ぐ予定だった琴折家の長女が殺されたため、必然的に容疑者は琴折家の屋敷に住む人々となります。この琴折家の人々が一癖も二癖もあり物語を盛り上げています。

ちなみに、冒頭にはお約束の家系図があります。一族の家系図とか見るとついニヤニヤしてしまうのはミステリ好きあるあるではないでしょうか。

スガル様の継承権、琴折家の事業の利権、いかがわしい関係、など登場人物それぞれが適度に怪しい伏線を張っていくので最後まで犯人の正体が読みきれません。

◀︎ 冒頭の家系図を見て被害者想像するの好きな人

「ふむふむ。三姉妹がいるな。これは入れ替えトリックか、実は四姉妹だった系の展開あるぞ」(当たっているかは読んでのお楽しみ)

謎解き

今作の犯人はとても手強く、探偵であるみかげや警察を嘲笑うかのように捜査の手を掻い潜り犯行を行います。

それに対してみかげは「棚の下に付いた焦げ跡」や「下駄箱の靴の位置」などの些細な証拠から犯人を絞っていきます。

いくつもの仮説とロジックを組み上げていく推理パートはまさにミステリの真骨頂とも言えます。

衝撃の展開

かくして、琴折家連続殺人事件は衝撃の結末で幕を閉じるのであった── 完

あれ、おかしい。事件は解決したのにまだ半分ぐらいページが残っているぞ・・・?

なんとこの作品は二部構成になっているのです!(目次で分かれ)

一部で完璧な解決を迎えた琴折家連続殺人事件ですが、18年後の冬に再び首切り殺人事件が発生します。

みかげの推理が間違っていたのか、それとも・・・。

探偵・御陵みかげと助手の静馬は再び連続殺人犯と対峙することとなります。

二人を待ち受ける衝撃の真相とは──。 ネタバレを喰らう前にぜひ自身で読むことをオススメします!

おわりに

今回は麻耶雄嵩さんの『隻眼の少女』を紹介しました。

魅力的な舞台やキャラクター。衝撃の展開など、ミステリー好きにはたまらない要素がふんだんに盛り込まれてます。

また魅力的なヒロインがグイグイと物語を引っ張ってくれるのでミステリ初心者も読みやすい一冊となっていますのでぜひ読んでみてください。

この作品が好きな人へのオススメ

最後にまどい的『隻眼の少女が好きな人へのオススメ本』を紹介します。

どちらもとても面白いのでぜひ読んでみてください!

medium 霊媒探偵城塚翡翠 相沢沙呼

“全てが伏線” のキャッチコピーでミステリ業界を席巻した作品。

霊の声を聞くことができる探偵・城塚翡翠は推理作家の香月と共に事件を解決していくが・・・。

美しく聡明な女性探偵と衝撃の展開があなたを待ち受けています。必ず最後まで読んでください!

名探偵に薔薇を 城平京

創作童話「メルヘン小人地獄」の内容に沿って見立て殺人が起きる。不敵な犯人に立ち向かう探偵を待つ真実とは──。

漫画「スパイラルー推理の絆ー」の原作担当、城平京さんが書いた小説です。

女性探偵。二部構成。衝撃の展開。探偵の苦悩、と隻眼の少女に通じる要素が多分に含まれています。

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